日本語の中でも、「食べること」とか「探すこと」とかいう「何々すること」パターンになっている名詞がよく出ています。日本語では「動詞(基本形)+こと」でできてしまいます。マダガスカル語ではどう作ればよいかを説明します。

復習しながら説明します。動詞の基本形はこうなっています。

mijery → みる [m + i + 語根]
miditra → 入る [m + i + 語根]
mandeha → 歩く、動く [m +an + 語根]
manampy → 手伝う、足す [m + an + 語根]
manatsara → よくする [m + ana + 語根] (語根が形容詞のときによく出るパターン)
mampiditra → 入らせる、入れる [先頭のmの後ろにampを付ける] (させるパターン)
mifanampy → お互いに手伝う、手伝いあう [先頭の後ろにifを付ける]
mifampijery → お互いにみる (「させる」兼「しあう」パターン)

基本形から、2種類の受身(される)パターンがあります。
一つ目は直接目的語(を)が主語に変ったときのパターン。このパターンは「受身@」と私が勝手に名付けます。
二つ目は間接目的語(で、に)が主語に変ったときのパターン。このパターンは「受身A」と私が勝手に名付けます。

今日は受身Aだけ説明します。基本形から先頭のmを外して、後ろにanaを付けて、構成するのです。
それが基本ですが、いい音になるように、後ろのanaとの接続のところで、変ったりする場合があります。
上記の基本形を受身Aになると、こうなります。

mijery → ijerena
miditra → idirana
mandeha → andehanana
manampy → anampiana
manatsara → anatsarana
mampiditra → ampidirana
mifanampy → ifanampiana

そして、「何々すること」の構成はこの受身Aの先頭にfを付ければできます。まぁ、基本形から先頭のmをfに変えて、後ろにanaを付けると覚えてもよいでしょう。上記の例の場合だとこうなるのです。

fijerena → みること。fijerena baolina=サッカー試合観戦。
fidirana → 入ること、入り口。vavahady fidirana = 入り口門。
fandehanana → 行くこと、歩くこと、動くこと。行き方、歩き方のときも使えます。ahoana ny fandehanana mankany?=そちらへどうやって行けばよいですか。
fanampiana → 手伝うこと、支援。
fanatsarana → よくすること、改善。
fampidirana → 入れること。fampidirana jiro sy rano=電気と水道の工事。(新築の家のときとか)
fifanampiana → お互いの助け、協力。

これで、大体わかったと思いますが、一つコメントしておきます。

[fijerena baolina]と[vavahady fidirana]の例が出ましたが、[fijerena baolina]では[fijerena]が先頭に出ていて、[vavahady fidirana]では[fidirana]が後ろになります。日本語では「赤いペン」や「最初のレッスン」の例でわかりますが、名詞を説明する単語はその名詞の前に出ています。マダガスカル語では後ろです。なので、fijerena baolinaとなったとき、baolinaのことではなく、fijerenaが一番いいたいでbaolinaは補足の説明だけです。同じようにvavahady fidiranaだとvavahady(門)のことを指しています。fidiranaは何の門かの説明だけです。「入り口の門です」ということになるわけです。